ドールハウス作家 河原 かゆり
近年テレビでも取り上げられる機会が増えたドールハウス(ミニチュアハウス)。
河原かゆり氏は制作歴20年のドールハウス作家です。
これまで何度もドールハウス雑誌で紹介された彼女、2016年秋にはMBSのテレビ番組「Catch!」、2018年秋には朝日放送のテレビ番組「LIFE~夢のカタチ」に出演されました。
今、関西で注目されているドールハウス作家の一人と言えるでしょう。
毎日放送 Catch!より
ハンドメイド雑貨 FROSCHを開業
河原氏は2013年9月に大阪府枚方市に雑貨店 “Handmade&zakka FROSCH”を開業し、
雑貨店 店主とドールハウス作家&講師など複数の顔を持っています。
そんな河原氏について取材を通じて感じたこと。
“その場の空気をやさしく穏やかな色に変えられる人”
Handmade&zakka FROSCHの店内にも、彼女が作るドールハウスの世界の中にもその空気を感じることができる。
その空気感は河原氏の人柄とドールハウス制作の技術が可能にしているのだろう。
ドールハウスとの出会い
河原氏とドールハウスの出会いは約20年前。
趣味で習い始めた絵画教室でスペインのお皿を題材に絵を描いていると、ふと“このお皿を立体にしてみたい”という想いが芽生え、それがドールハウスとの出会いのきっかけになった。
当時はドールハウスの作り方を教えてくれる教室もなかったため、ドールハウス雑誌を参考書代わりに独学で勉強を始めた。
材料選びや制作方法などわからないことも多く苦労もたくさんあったが、その苦労以上にドールハウスの魅力に取りつかれていった。
そしてこれまでに制作した作品は200点以上にも上る。
河原氏の作風
河原氏のドールハウスは洋館やカフェなどヨーロッパ風の作品が多い。
それは小学生時代の数年間をドイツで過ごしたことも影響しているのだと言う。
ヨーロッパ風の建築物や街並みは今も彼女のイメージに強く象られているのでしょう。
ドールハウス講師として
ドールハウス制作の講師をスタートする
そして、ドールハウスの制作を始めて数年後、友人からの依頼に応えるかたちでドールハウス制作講師をスタートした。
人に教えるのは苦手という河原氏だが、人に頼まれると断れない人の好さも手伝ったのでしょう。
その後、転居などで場所を変えながらも講師業を続けました。その結果、今では講師経験も15年以上、受講者数も延べ100名を超えています。
講師としての思い
FROSCHでは、毎月数回、大人向け、子供向けのドールハウス教室を開催してます。
これは、これからドールハウス作りを始めようとする人が河原氏が制作を始めたころのような苦労をしないように開催しているように感じました。
そういう気持ちが伝わっているのか、受講者からは
「優しく教えてくれる」
「いろいろとアドバイスしてくれる」
と言った声が多い。
河原氏の明るい笑顔と穏やかな性格によるのだろう。
ドールハウス職人 河原かゆり
ドールハウス講師としても活躍する河原氏ですが、取材担当者として「河原かゆり氏の本質は?」と聞かれると、やはりドールハウス作家と答えてしまう。
それはドールハウス制作への姿勢と作品が物語っている。
河原氏のドールハウスはトコトンこだわったリアリティーが特徴で、実際の素材に近い素材を厳選し、原色は使わず一つ一つの風合いを大切にしている。 どんなに小さなものでも本物感にこだわる。
その職人気質の姿勢は200以上の作品を作った今も全く変わっていない。
ドールハウス制作の依頼
そんな河原氏のもとには定期的にドールハウス制作の依頼がある。
河原氏の作品を見て、思い出のお家やお店を記念として残したいというもの、友人への開店祝いとしてのプレゼントが多い。
実際に依頼主を訪問してみました。
依頼主様(お客様)の声
中華ビストロうちだ様(大阪府枚方市)
奥さんがお店の内装にと制作を依頼しました。
レジに飾っていますが、お客様に「これ、とてもかわいいですね。」って言ってもらえます。
私も気に入ってます。
居酒屋ありあ様(大阪府枚方市)
友人が誕生日のお祝いにサプライズでプレゼントしてくれました。
自転車まで再現されていて感動しました。嬉しくていつもお店のカウンターに飾っています。
私もお友達のプレゼントに贈りたいと思いました。
カフェ グランターブル様(大阪府枚方市)
開店10周年のお祝いに奥さんがプレゼントしてくれました。
10年間の苦労や喜びを思い出しました。本当にうれしかったです。
障害者施設の「あべのっ子」様(大阪市)
職員や出入り業者たちからとても好評で、主人も自慢気に話をしていました。特に工事関係(ハウスメーカー)の方はすごくよく出来てる!!と興味深々で関心してご覧になっていました。
45年前の古いバイク好きの夫婦が経営を始めた障害者施設の「あべのっ子」の第1号店。ここからのスタートを記念して主人へのバースデープレゼントとして制作して頂きました!主人も大喜び!!これから力を合わせて初心を忘れずに頑張っていきます!!
ショットバー様
私の思い入れの沢山詰まったこのお店を見事に再現して下さった先生に感謝
そしてドールハウスをプレゼントして下さった事 とても嬉しく思います
接骨院カイロプラクティック院様
私が接骨院を引き継いで7月1日で丸30年となります。
それを記念して家内と娘達が、春頃からドールハウス作家の河原さんにお願いしていた様です。
僕にバレないように写真を撮って資料を集めていたそうですが、、、。
職場にそっくりのドールハウスを手渡された時は、30年間の仕事での出来事や家族の事が走馬灯の様に思い出され、感無量な気持ちになりました。
見れば見る程、感慨深い作品です。7月1日から今日迄、職場に展示して患者さんと共に感謝と感動を共有しています。
河原さん、素敵な作品を有難うございました。
家やお店というのは、主の想いがたくさん詰まったもの。
その想いを感じながら「リアリティ+空気感+ナチュラル」を表現したドールハウスを作れる職人は日本にもそう多くはいないのではないかと感じた。
河原氏はこれからもドールハウス制作を通じて、依頼主の想いが数年後も生き続ける作品を作っていくのだろう。
ドールハウスに込めた想い
最後に河原氏に今後の目標について聞いてみた。すると、少し恥ずかしそうにこう答えた。
「ドールハウスを通じて日本の古き良き文化を伝えたい。」
いつも控え目な彼女から出た力強い言葉がとても印象的だった。
幼少時代のドイツでの生活に影響を受け洋風の作品を多く作り続けてきた河原氏だが、今後は日本でも失われつつある町家や古民家などの良さをドールハウスを通じて伝えていきたいとの想いを持っているそうです。
これからもドールハウスを作り続け、日本はもちろん世界の文化を作品を通じて伝えてほしいと思います。
河原かゆり ドールハウス作品集
これまで河原氏が制作した200点以上の作品の中から代表的なものをいくつかご紹介します。
展示会への出展やドールハウス出張教室も行っております。 お問い合わせは下記よりお願いいたします。